不動産相続で得た土地・建物は売却すべき?メリットや注意点、売り時の見極め方を解説
不動産相続で土地や建物を取得した場合、そのまま残すべきか、それとも売却すべきか悩んでいる方は多いと思います。それでは、相続した土地・建物を売却するメリットとはなんでしょうか。売るタイミングの見極め方や注意点も交えながら、専門用語を極力避けてわかりやすく解説します。
不動産相続で得た土地・建物を売却するメリット
不動産相続によって引き継いだ土地・建物を売却して手放すことに、ネガティブなイメージをお持ちの方もおられるでしょう。しかし、土地・建物の売却には以下のようなメリットがあり、多くの相続人が売却という道を選んでいます。
<相続した不動産を売却するメリット>
・固定資産税などの維持費がかからなくなる
・相続人が複数いる場合は遺産分割をしやすくなる
・空き家による犯罪リスクを避けられる
不動産売却を行うメリットについて、まずは詳しく確認していきましょう。
固定資産税などの維持費がかからなくなる
不動産を相続した場合、たとえその不動産を一切活用しなかったとしても、固定資産税をはじめとする維持費がかかります。維持費を上回る収益が得られるならば保有する価値もありますが、そうでなければ毎月のように赤字を垂れ流してしまうため、売却して節約につなげると良いでしょう。
相続人が複数いる場合は遺産分割をしやすくなる
相続人が複数いる場合、遺産分割をしやすくなることもメリットです。不動産は現金と違って均等に分けられないため、しばしば相続トラブルの火種になります。不動産売却により現金化すれば、1円単位まで平等に遺産分割できるため、親族との関係を悪化させずに済むでしょう。
空き家による犯罪リスクを避けられる
相続した不動産を空き家のまま放置させると、以下のようなリスクが発生します。
<空き家のまま放置するリスク>
・不審者や動物が住み着いてしまう
・ガラスが割られる、建物が傷つけられるなどの被害に遭う
・放火のリスクが高くなる
・災害などで倒壊し、近隣の住宅に損害を与えるおそれがある
たとえ相続放棄をしたとしても、空き家の管理義務はそのまま残ります。このようなリスクを完全になくし、賠償責任などから逃れるためには、不動産売却が有効です。
不動産相続で得た土地・建物を売却するのに適した4つのタイミング
不動産相続において売却が有益な手段だとわかっても、なかなか決断できないかもしれません。そんな方のために、土地・建物を売却するのに適したタイミングを4つご紹介します。
<相続した不動産を売却するのに適した4つのタイミング>
・相続税の捻出が難しいとき
・大規模修繕や高額なメンテナンスを控えているとき
・不動産価格の相場が高いとき
・土地や建物を有効に活用できないとき
もしも現状が上記のいずれかに該当するならば、売却を本格的に検討すると良いでしょう。
相続税の捻出が難しいとき
遺産の評価額によっては、相続人に相続税の納付義務が生じるかもしれません。しかし預貯金などの財産が少なく、資産の大部分を不動産が占める場合、相続税の捻出が難しくなります。
大規模修繕や高額なメンテナンスを控えているとき
戸建て・マンションの場合、数年~数十年に一度のペースで大規模修繕やメンテナンスが必要です。たとえば外壁塗装だけでも数十万円~数百万円の予算が必要になり、給湯器など必要不可欠な機器が壊れた場合も高額な費用を支払わなければなりません。
不動産価格の相場が高いとき
不動産価格の相場が高いタイミングならば、不動産の購入時と比べて高値、あるいは少ない損失で売却できるかもしれません。特に東京都などの首都圏では、2022年も依然として不動産価格の高止まりが続いています。将来的に売却する可能性があるならば、値崩れを起こす前に手放すことを検討しましょう。
土地や建物を有効に活用できないとき
土地や建物を有効活用できない場合も売却に適したタイミングです。以下のようなケースでは、売却して現金化したり、売却によって得た資金を再投資したりすることを考えましょう。
<土地や建物を有効活用できないケース>
・投資用住宅の空室が続いているとき
・商業施設などの誘致が難しいとき
・駐車場などに整備しても黒字化を見込めないとき
収益を得られない状態のまま土地・建物を保有していても、固定資産税をはじめとする維持費で赤字が発生してしまいます。売却によって損失が発生するとしても、このようなケースに該当する場合は損切りを目的とした売却を決断することがおすすめです。
不動産相続で得た土地・建物を売却する際の注意点
不動産相続で得た土地・建物を売却する際の注意点について触れていきます。いざ売却を決断したとしても、以下のような事情によって、思うように手続きが進まず想定したとおりの収益を得られない場合があるため要注意です。
<不動産相続で得た土地・建物を売却する際の注意点>
・譲渡所得税がかかる場合もある
・不動産の中身によってはスムーズに売却できない可能性がある
・自力で購入希望者を見つけるのは難しい
順番にわかりやすく解説していきましょう。
譲渡所得税がかかる場合もある
土地や建物の売却によって利益が生まれた場合は、譲渡所得税がかかる場合もあります。譲渡所得税の税率は、土地や建物を保有してきた期間によって以下のように変わります。
<譲渡所得税の税率>
・長期譲渡所得(5年以上の保有):課税長期譲渡所得金額×15%
・短期譲渡所得(5年未満の保有):課税短期譲渡所得金額×30%
譲渡所得金額とは、売却益から土地・建物の取得費、売買手数料などを差し引いて残った金額のことです。たとえば譲渡所得金額が1,000万円で、長期譲渡所得の場合、譲渡所得税として150万円を納付しなければなりません。
不動産の中身によってはスムーズに売却できない可能性がある
不動産の中身・内容次第では、すぐに買い手が見つからずにスムーズな売却ができない可能性もあります。都市部の不動産については比較的人気がありますが、地方都市の場合は買い手を見つけるのに苦戦するかもしれません。売却先が決まるまでは、相続人が不動産の維持・管理を行う必要があります。
自力で購入希望者を見つけるのは難しい
自力で不動産の購入希望者を見つけるのは難しく、多くの人が不動産会社と契約して宣伝・案内をしてもらい、売却を成立させています。この場合は売買手数料を支払う必要が生じるほか、依頼する不動産会社によっては雑な対応を受けるおそれもあるため、不動産会社選びは慎重に進めなければなりません。
まとめ
不動産相続で得た土地・建物を売却することで、固定資産税などの維持費をなくせるほか、相続人間のトラブルも避けやすくなります。ただし、売却時の不動産会社選びは慎重に進めなければなりません。星野事務所では不動産会社の選定も一括代行しており、不動産の種類・特徴に応じた最適な不動産会社をご紹介できます。