不動産売買で登記しないとどうなる?未登記になる理由やリスク、登記方法を紹介
不動産売買時には不動産登記を必要としますが、登記を済ませていない「未登記物件」が多いことも事実です。それでは、不動産を登記しないとどんなリスクと直面することになるのでしょうか。未登記物件が多い理由や、登記方法も併せて解説します。
そもそも不動産売買の登記とは?
そもそも不動産売買における登記とは、その不動産が誰のものかを明確にし、法的な根拠を持たせるために行う手続きです。不動産登記によって不動産の所有者が決まり、所有者は自由に不動産の運用や売却ができるようになります。不動産登記には「表題部登記」と「権利部登記」の2つがあり、それぞれ内容が異なるため注意しましょう。
表題部登記は法律によって義務付けられている
表題部登記とは、固定資産税・都市計画税を徴収する際に必要な登記であり、法律によって義務付けられています。これを怠ると10万円以下の過料が発生する可能性もあるため、役場からの指摘を受ける前に不動産登記を済ませましょう。
権利部登記は義務付けられていない
権利部登記は、不動産売買などを行う際に必要になる登記です。現在は義務化されていませんが、2024年4月からは義務化される予定で、これを怠ると10万円以下の過料が発生する可能性があります。 いわゆる「未登記物件」として問題になるのは、権利部登記が行われていない物件です。
不動産を登記しないとどうなる?
不動産登記をしないとどうなるのでしょうか。先述したように、現時点では権利部登記を行っても罰金が科されるなどのトラブルは起こりません。ただし、以下のような問題に直面するおそれがあります。
<不動産を登記しない場合のリスク>
・所有権を主張できずに売買や賃貸が不可能になる
・不動産を担保にした融資を受けられない
・第三者に乗っ取られるリスクがある
・登記していなくても固定資産税は発生する
・不測の事態が起きた際に補償を受けにくくなる
重大なトラブルに巻き込まれるおそれもあるため、トラブルを予防するためにも、リスクを正しく把握しておきましょう。
所有権を主張できずに売買や賃貸が不可能になる
不動産登記を完了させないと、その物件を本当に自分が所有していたとしても、第三者に所有権を主張することができません。市場においては「誰のものかわからない物件」と評価されるため、売却したり、賃貸物件として貸し出したりすることは非常に厳しいといえます。
不動産を担保にした融資を受けられない
金融機関から多額の融資を受ける場合、保有している不動産を担保に入れるケースがあります。しかし、未登記の不動産は金融機関にとっても誰の所有物なのか判断できません。そのため、不動産を担保に入れることが認められず、融資を却下されるリスクが高まることにも注意すべきです。
第三者に乗っ取られるリスクがある
最悪のケースが乗っ取りです。悪意のある人物が現れ、仮にこの人が不動産登記を行ったとしましょう。この場合、法律上はその物件を「登記を行った人のもの」として扱います。不動産を自分が取得したのに、別の誰かが勝手に住んだり、勝手に転売されたりするリスクがあるため要注意です。
登記していなくても固定資産税は発生する
「登記しなければ固定資産税が発生しないのではないか」と考える人もいますが、これは大きな誤解です。たとえ登記簿に記載されていなくても、行政による定期的な現場の状況確認が行われます。このデータをもとにして固定資産税の請求を行うため、登記していなくても固定資産税は発生するのです。
不測の事態が起きた際に補償を受けにくくなる
東日本大震災における原発事故では、自宅に住めなくなった人に対して東京電力が登記情報をもとに補償を行いました。もしも登記を行っていない状態で不測の事態が起きると、その住宅が自分のものであることを証明できず、補償をスムーズに受けられなくなってしまいます。
不動産売買前に登記を済ませるべき2つの理由
デメリットについて詳しくお伝えしたため、不動産登記を行わないことがいかに恐ろしいことなのかご理解いただけたかもしれません。それでは、不動産売買前に登記を済ませるべき理由とはなんでしょうか。2つの項目に分けて解説します。
<不動産売買前に登記を済ませるべき2つの理由>
・購入希望者を見つけやすくなる
・相続時のトラブルを予防できる
それぞれを順番に解説しましょう。
購入希望者を見つけやすくなる
不動産を登記することにより、確実に所有権を持っていることを主張できます。売却時においては、購入を希望している人にとっても安心して取り引きできるため、購入希望者を見つけやすくなるでしょう。
相続時のトラブルを予防できる
不動産相続の際に素早く登記することで、無駄な相続トラブルを予防できることもメリットです。先述したとおり、登記しないまま放置していると、悪意のある第三者に不動産を乗っ取られるおそれがあります。
また、もしも未登記のまま本来の相続人が死亡した場合は、将来的に新しい相続者が不動産登記することになります。そうなると自分の子どもや親戚に迷惑をかけてしまいますし、相続人同士が登記費用の支払いを巡って揉めるおそれもあるため要注意です。
不動産登記を行う方法
不動産登記をしないまま放置していると、乗っ取りなどのリスクが発生するほか、将来的に家族・親族に迷惑をかける可能性もあります。不動産登記は大切な手続きであるため、未登記のままにせず、不動産を引き継いだ際は必ず登記を行いましょう。不動産登記の方法は、登記の種類によって異なります。
<不動産登記を行う方法>
・表題登記・・・土地家屋調査士に依頼する
・所有権保存登記・・・司法書士に依頼する
それぞれを順番にわかりやすく解説しましょう。
表題登記・・・土地家屋調査士に依頼する
表題登記は先述したとおり法律によって義務付けられています。表題登記を希望する場合は、土地家屋調査士に依頼しましょう。土地家屋調査士は、依頼された建物まで出張し、平米数や構造など必要な情報を調査して登記を行います。ごく一般的な住居の場合、調査・登記にかかる費用は10~20万円前後です。
所有権保存登記・・・司法書士に依頼する
所有権保存登記は2022年時点で義務付けられていませんが、先述したとおりあらゆるトラブルを避けるために必要不可欠な登記です。所有権保存登記は司法書士に依頼しましょう。費用は登記する物件の評価額によっても異なりますが、一般的な住居の場合は5~10万円が相場です。
まとめ
登記しないまま過ごしていると、不動産売買ができなくなるほか、最悪の場合は乗っ取りなどの被害に遭うおそれがあります。登記しないとトラブルに巻き込まれるリスクが高まるため、不動産を取得した後は素早く登記を行いましょう。
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