不動産売買・相続時の登記を自分で行う際の注意点|専門家に依頼すべき理由を解説
不動産売買・相続時には、不動産の名義人を変更する所有権移転登記が必要です。所有権移転登記を自分で行うことは可能であるものの、結論として登記は専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。この記事では、自分で登記を行う際の手順と注意点、そして専門家に依頼すべき理由を解説します。
<h2>不動産売買・相続の登記を自分で行う手順</h2>
不動産売買・相続においては、不動産の新しい名義人を公的に示すための所有権移転登記が必要です。登記を自分自身で行う場合の手順を見ていきましょう。
<所有権移転登記を行う手順>
①申請書を入手する
②必要書類をそろえる
③申請書・必要書類を法務局に提出する
④登記完了証・登記識別情報通知書を受け取る
手順としては4つのステップのみとなります。それぞれのステップをさらに詳しく解説するので、ぜひ参考になさってください。
<h3>①申請書を入手する</h3>
法務局のホームページにアクセスして、申請書をダウンロード・プリントアウトしましょう。申請書の様式は登記の内容により異なるため、ホームページから最適な様式を選んでください。なお、各法務局にも申請書が用意されており、相談窓口では書き方などの質問も受け付けています。
<h3>②必要書類をそろえる</h3>
申請書に添付する必要書類をそろえましょう。必要書類は内容によって大きく異なります。売買・相続・贈与・分与の4パターンに分けたリストをご用意しました。
【必要書類の一覧表】
必要書類 | 売買買主 | 売買売主 | 相続もらう人 | 贈与もらう人 | 贈与与える人 | 分与もらう人 | 分与与える人 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
身分証 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
印鑑証明・実印 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | 〇 | ー | 〇 |
登記済証 | ー | 〇 | 〇 | ー | 〇 | ー | 〇 |
固定資産評価証明書 | ー | 〇 | 〇 | ー | 〇 | ー | 〇 |
住民票の写し | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
売買契約書 | 〇 | 〇 | ー | ー | ー | ー | ー |
贈与契約書 | ー | ー | ー | 〇 | 〇 | ー | ー |
調停証書 | ー | ー | 〇 | ー | ー | 〇 | 〇 |
離婚協議書 | ー | ー | ー | ー | ー | 〇 | 〇 |
遺言書・遺産分割協議書 | ー | ー | 〇 | ー | ー | ー | ー |
内容に応じて、○のついている書類が必要になります。書類の入手方法などの詳細は関連記事の【不動産売買 登記 必要書類】にまとめているので、こちらもご参照ください。
③申請書・必要書類を法務局に提出する
申請書と必要書類がまとまったら、法務局に提出して申請を行いましょう。受付で受理された後、法務局で内容の審査が行われます。書類が足りない場合や、申請書に不備がある場合などは法務局から指摘されるため、必要に応じた修正を行ってください。
④登記完了証・登記識別情報通知書を受け取る
申請が認められると、登記完了証・登記識別情報通知書が法務局の窓口で交付されます。直接交付でなく、自宅への送付を希望する場合は、申請書を法務局に提出する際に「返信料金分の切手を貼り付けた封筒」を忘れずに同封しましょう。
不動産売買・相続の登記を自分で行うのをおすすめしない4つの理由
先述した方法で所有権移転登記は自分自身でも行えますが、これからご紹介する4つの理由により、自分で申請することはおすすめできません。 <不動産売買・相続の登記を自分で行うのをおすすめしない4つの理由> ・法務局は平日の日中にしか窓口を開けていない ・必要書類を集めるのが難しく、失敗する可能性がある ・不動産トラブルに巻き込まれるおそれがある ・売買予定日までに所有権移転登記が間に合わない可能性もある 登記を自分で行う場合、複雑で不慣れな作業を複数こなす必要があり、さらに重大なトラブルに巻き込まれるおそれもあります。それぞれを詳しく解説するので、自分でできそうかどうかチェックしてみましょう。
法務局は平日の日中にしか窓口を開いていない
最初の問題は、登記を法務局で行わなければならない点です。法務局は平日の日中にしか業務を行っていないため、土日祝日や平日夜間の申請ができません。また、書類に不備・不足が認められた場合は、訂正のために再び法務局を訪れなければならず、二度手間になるおそれがあります。
必要書類を集めるのが難しく、失敗する可能性がある
先述したように、所有権移転登記における必要書類は多種多様です。特に戸籍謄本に関しては、被相続人の出生から死亡までにつながるすべての書類が必要になります。古い戸籍謄本は手書きで書かれている場合もあり、慣れていない方が間違えずにすべての書類を集めるのは困難と言わざるを得ません。
不動産トラブルに巻き込まれるおそれがある
不動産登記は複雑かつ平日にしか行えないため、自分で手続きをする場合はつい後回しにしがちです。しかし、この間に悪意のある第三者が勝手に不動産登記を行ってしまうなどのトラブルが発生することもあります。最終的に紛争を解決できる可能性はあるものの、泥沼化すると無駄な時間がかかるため、要注意です。
売買予定日までに所有権移転登記が間に合わない可能性もある
特に相続の場合、不動産売却と所有権移転登記を並行して行うことが多くあります。このとき、提出した書類に不備がある場合、売買予定日までに登記が間に合わないおそれがある点に注意しましょう。登記が間に合わないと購入希望者に物件を引き渡せず、売買を行う日が延期となり、購入希望者に迷惑をかけてしまいます。
不動産売買・相続の登記は自分で行わずに司法書士へ任せよう
所有権移転登記を自分で行うと、さまざまなトラブルに巻き込まれるおそれがあります。確実かつスピーディーに登記を終わらせたい場合は、無理に自分で行おうとせず、登記を司法書士に任せましょう。司法書士に登記を依頼するメリットは次の3点です。 <司法書士に登記を依頼するメリット> ・書類の取得を代行してもらえる ・予定した日時までに登記が完了する ・あらゆるトラブルを解決してくれる それぞれのメリットを詳しく解説していくので、司法書士に依頼する価値があるかどうかチェックしてみましょう。
書類の取得を代行してもらえる
自分で登記を行う際、特に苦労しがちなのが書類の収集です。さまざまな場所で多くの書類を集める必要があります。司法書士に依頼すると、特に内容が難解で収集しにくい戸籍謄本の取得を代行してくれるため、書類集めにかかる手間を大幅に削減することが可能です。
予定した日時までに登記が完了する
司法書士は登記をはじめとする法的な書類を取り扱うプロであるため、法務局へ提出する際にミスを起こすことがほぼありません。予定した日時までに登記が完了することがほとんどなので、登記と同時に不動産売却を進めたい場合も安心です。
あらゆるトラブルを解決してくれる
登記事項の変更を先延ばししてきた不動産や、抵当権が抹消されていない不動産を引き継ぐ場合は、通常の所有権移転登記以外に追加の手続きが必要な場合があります。司法書士はこれらの問題を見抜き、臨機応変に手続きを進められるため、トラブルにより登記が頓挫することもありません。
まとめ
不動産売買・相続における登記は自分でも行えますが、さまざまなトラブルに見舞われるリスクがあるためあまりおすすめできません。専門家に依頼することで、手間を省いて確実に登記を進められるため、登記が必要になった場合は司法書士への相談をおすすめします。 星野事務所は不動産登記や相続の手続きを一括で代行するサービスを提供しております。お客様のご要望に沿えるよう、誠意を持って対応いたしますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。